村上春樹著『騎士団長殺し』について
私は時間を味方につけなくてはならないーー妻と別離して彷徨い、海をのぞむ小田原の小暗い森の山荘で、深い孤独の中に暮らす三十六歳の肖像画家。やがて屋根裏のみみずくと夜中に鳴る鈴に導かれ、謎めいた出来事が次々と起こり始める。緑深い谷の向こう側からあらわれる不思議な白髪の隣人、雑木林の祠と石宝、古いレコード、そして「騎士団長」……。物語が豊かに連環する村上文学の結晶!
出典元:村上春樹・著『騎士団長殺し』新潮社文庫 裏表紙
プロローグなんて、顔のない男に肖像画を依頼される状況からはじまる。
これおもしろくないわけがない!!(村上春樹ファン)
【感想】もう主人公が生活してる描写だけでずっと楽しいよ。
妻に突然離婚してと言われた主人公の男が、山奥の別荘にひとりこもって絵を描いてる話なんだけど、その合間にいろいろ思いながら、おしゃれなランチつくったり、レコードかけたり、読書したり、恋人がきたり、ときどき絵画教室の先生をするために山を下りたりする。
その生活を読んでるだけで楽しい。これだけでいいからずっと続けてくれないかな、って思う。
あと主人公は肖像画家なんだけど、作品に取り組む姿勢とか悩み方がとってもリアルで、村上春樹先生は画家もしてるんじゃないかと思った。
それだけでも楽しいのにいろいろ巻き込まれていく
その別荘は昔有名な画家が使ってたものだったり、隣に「完璧な男」が住んでたりする。
色を免れると書いて「免色(めんしき)さん」、しかも白髪。
なにそれ気になる、、という興味津々な設定が次々に増えて来て、もちろん主人公は巻き込まれていくし、どこまでもわくわくする。
ラストが今までの作品と違う
村上春樹先生の小説は全部読んでるだけど、ラストが今までと雰囲気が違う。
あれ…?
先生、心境の変化かな。
私はまだ歳が足らないせいか、その心境にはなれないので、個人的にはそこから物語はまだ続いてほしい。
上・下じゃなくて第1部・第2部となってるから第3部出るのかな…。
おすすめ度
★★★★★★★★★★
村上ファンならきっと間違いないよ。
寝る前に読むと途中でやめられなくなって朝になってしまうので注意!
私は文庫派です。文庫版だと全4冊。↓