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近大司書資格取得と好きな本など

5801 図書・図書館史レポート【近大通信教育部 司書資格】

書き方がよくわからず困っていたところ、先輩方の公開されているレポートを参考にしてスムーズに合格することができたので、私も自分のレポートを公開しようと思います。※レポート丸写しして再提出になる例が増えているようです。自己責任で参考としての利用をお願いします。

【設題】日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度)を述べてください。

【解答】

1、古代
 中国や朝鮮半島から文字が伝わり、仏教の伝来とともに情報伝達媒体である紙や墨も日本に伝わり、経典が普及することとなった。聖徳太子が天皇となり、仏教受容の国是を定め、仏教が広まると、仏典は紙と墨で写書され、それらを保管する入れ物として経蔵が必要とされるようになる。経蔵は経典専門書庫であり、その利用者は主に僧籍関係者に限られていたと考えられる。
 その後、大化の改新により律令制度が形成され、行政の運営に文書が中心に使われるようになると、それらの文書を作成する役人と文書の保管庫の役割として「図書寮」という機関を設置した。図書寮の業務はその他に、仏像の保管、国史の編集、経典の校写や写書、紙・筆・墨の作成など多岐にわたり、役人には図書の閲覧・貸出もおこなわれた。
 奈良・平安時代には版をつかった印刷物がつくられるようになった。奈良時代末には貴族で文人でもある石上宅嗣によって日本最初の公開図書館である「芸亭」がつくられ、仏教以外の図書を収蔵し、学問を好む人に自由に公開していた。
 この頃より平安時代にかけて「紅梅殿」「法隆寺文庫」など、貴族のための文庫が設けられた。

2、中世
 この時代の特徴は、御家人制度によって封建制度が確立され、文化の面では武家文化が成立し、地方にまで文化が拡散、文化の庶民性が強くなった。
 武家文庫の代表として北条実時が設けた「金沢文庫」が有名である。実時は学問熱心であり、その文庫は政治、法制、軍事、文学など広範囲な内容であった。個人文庫の性格が強く、一部の関係者などにしか公開されなかったが、文庫はさらに充実し、漢籍や国書などを加え広い分野にわたり2万巻を超える蔵書を持つようになった。
 金沢文庫は武家社会を背景として隆盛を極めたが、それは学問が次第に民衆の間に根をはってきた証拠で、特に武士や僧侶は学問研鑽の必要に迫られてきたという社会背景がある。
 また、同じく武家社会を背景に日本最古の学校図書館といえる「足利学校」が設立された。教育方針は儒学中心であり、特に易学の典籍は豊富であった。入学者は僧侶に限られたが、ここで学んだ学僧は戦国武将の軍事顧問として重用されるところとなった。
 その他、この時代の文庫として有名なものに、「名越文庫」「梅小路文庫」「官務文庫」などがある。

3、近世
 江戸時代になると封建社会を背景に、階級によってさまざまな文庫が設けられた。政府の機関である徳川幕府の文庫、学術書や文化のための大名の文庫、天皇や公家の記録物や和歌などの伝統を守る朝廷・公家の文庫などである。
 また、政治が安定し、文教政策が重視され各地に学校がつくられると、教育関係の文庫もつくられた。
 さらに、幕府の学芸推奨も手伝い、寺子屋が開設されるなど庶民にまで読み・書き・そろばんの教育が広がり、庶民文化が形成されていった。庶民大衆が文字に親しみを持つようになり、読書の需要は増え、商業出版が確立され、整版本が流行った。書肆が誕生し、ますます読書人口は増え、大衆読者が成立し、本を売り歩く本屋や貸本屋が登場した。貸本屋は庶民の読書機関として、図書館の代行機関的な役割を果たした。さらに一般庶民へ公開した「浅草文庫(卜斎文庫)」「青柳館文庫」などの公共図書館のきっかけとなる文庫がつくられた。
 
4、近代以降
 明治時代に入ると諸外国の影響を受け、日本にも本格的な図書館をつくろうという動きが高まり、明治13年の東京図書館をきっかけに「図書館」という名称で呼ばれるようになった。
 また明治時代には全国団体として「日本文庫協会」(のちの日本図書館協会)が創立し、はじめての図書館の法律である「図書館令」が制定され、図書館界が一定の成熟を得たといえる。
 第二次世界大戦後には民主主義国家・平和国家に向かう教育がはじまり、アメリカ指導のもと「誰しもが利用し得るもの」など、いくつかの項目で開かれた図書館像が示された。
 その後、日本の風土にあった市民が利用しやすい図書館づくりをしようと、全国各地に市民生活に溶け込んだ図書館づくりが進んだ。そこから進化を続け、21世紀に入ると電子メールやレファレンスサービスの充実、問題解決支援サービスなどに力を入れ、さらに充実した図書館となるようさまざまな工夫や取り組みが続けられている。

5、おわりに
 図書館は、はじめは高貴なものであり、利用者は僧侶や貴族といった限られた人だけであった。そこから学問が広い層に広がり、それにともない図書館利用者の幅も広がり、除々に庶民が利用できる施設となった。
 また、図書館は経典を保存する必要があったためにつくられた「経蔵」という役割からはじまり、歴史の中で社会情勢に振り回されながらも、その時代の需要に応えて変化し現代まで引き継がれてきたことがわかる。
 これからも図書館は時代とともに変化していくこととなるがその際に、これまでの歴史を参考に利用者にどんな役割が必要とされているかを見極めることが、その後の図書館の発展につながるのではないかと考える。

文字数 2065文字

参考文献
千 錫烈『ベーシック司書講座・図書館の基礎と展望10 図書・図書館史』学文社