書き方がよくわからず困っていたところ、先輩方の公開されているレポートを参考にしてスムーズに合格することができたので、私も自分のレポートを公開しようと思います。※レポート丸写しして再提出になる例が増えているようです。自己責任で参考としての利用をお願いします。
【設題】
近年の子どもの読書離れについて述べ、図書館司書として児童サービス(ヤングアダルトを含む)をどのように取り組んでいけばよいか、また図書館は関係機関等とどのように連携・協力し、児童サービスを進めていけばよいかを述べてください。
【解答】
1、子どもの読書離れについて
読書は図書、雑誌、新聞など書かれた文字を目で追って、言葉を手がかりに内容をつかみ理解する行為である。子どもにとっての読書は、誰かに読んでもらって内容を理解するという「耳からの読書」も含め、物語を通して様々な感情を体験するという、人間らしい人格を形成する上で大切な行為である。
子どもが読書をできるようになるまでの過程は、赤ちゃんの時に耳から音を聞いて反応し、周りの人から言葉をかけてもらって言葉を覚えていく。その言葉を一定のルールで記号化したものが文字であり、それを耳と目で徐々に覚える。やがて文字が連なった文章が読めるようになり、その文章を読み内容を理解する「読書」ができるようになる、というものである。
この過程の中に、映像メディアの発達やTVゲームなどの遊びの変化、共働きが増えたことなど現代の様々な要因が入り込んで読書離れという現象になっていると考えられる。
2、児童サービスをどのように取り組むべきか
(1)児童サービス
子どもに読書の喜びを知ってもらうために公共図書館が行う「子どものための図書館サービス」であり、子どもが読書することの意義を認めて、子どもと本を結びつけ、子どもが読書の楽しみを知って、それが子どもに定着するようにすすめ励ます様々な活動や工夫、配慮をすることである。
最近では本や環境に恵まれていても、子どもが本を読まないという状況が生じており、特に活動=働きかけを重視している。
子どもと本を結びつける直接的な活動には、フロアトーク、読み聞かせ、ストーリーテリング、ブックトーク、アニマシオン、レファレンス、読書案内、文化・集会活動、乳幼児サービスなどがあるが、どれも一定の技術と能力が必要である。
その際に図書館員に求められることは、ひとりひとりの子ども、地域の個々の子どもを知るように努めることである。
同時に、一般的に成長発達の途上である子どもというものや、その成長発達の道筋、その発達課題、行動様式、思考パターン、感性、ものの感じ方、子どもの願いなど、広く子どもというものを熟知しておく。次に、読書傾向、年齢による読書能力、定番読書など、子どもについての一般的な情報を知っておく。さらに、児童文化など今の子どもが夢中になっているものにも詳しい方がよい。
また、漠然と曖昧に広い概念で尋ねてくる子どもに対し、勘と根気と洞察力が必要となる。
「その本が『いい本』だという理由だけで、どの子どもにもすかれると考えることはできません。いちばんだいじなことは、その子がすきになれる本をすすめるということです。」(注1)とあるように、そのためにはまず本を知ることも重要であり、児童図書館員はどのような本があり、どのような子どもが好むのかを知ることが一番大切である。
(2)ヤングアダルトサービス
ヤングアダルトサービスはおよそ13歳から18歳を対象にしている。子どもと大人の狭間にあって、新しい自分を作り出そうとして自己を確立していこうとする時期であり、児童サービスとは少し区別して考える。
ヤングには、自分に向き合い、自分の興味関心から自分の内面を知って自己を伸ばしていくことにつながるような読書が必要になってくる。ヤングが感心を持っているものに寄り添いながら、自分の好きな分野、興味ある事柄を手がかりに、自分の心を探っていけるようなサービスをする。つまり、「読むことを知る」「読む楽しみを味わう」ことを多角的に手助けすることが大切である。
また、彼らへの接し方は、単に優しいだけでなく、もう少し頼りがいもあり、子どものようにべたべたした感じがない方がよく、距離感に配慮することも心がける。
3、関係機関との連携・協力について
子どもと本をつなげるために公共図書館は、積極的に子どものいる施設と連携・協力する。これは、地域の人たちに公共図書館をしってもらう機会にもなる。
まず重要になってくるのが学校との連携・協力である。内容は図書館資料を通して調べ学習の援助や資料の団体貸出、図書館見学や学級招待、学校訪問などである。公共図書館が学校図書館のバックアップとして資料を揃えて貸し出せば、学校の予算の問題も減り、効率的に資料をつかうことができる。図書館見学や学校訪問は公共図書館を知ってもらういい機会であり、読み聞かせやストーリーテリングによって子どもたちとの距離も縮まる。これらの連携・協力が有意義な結果をもたらすには、司書教諭や学校司書、教員と連絡を密にすること、例えば学校でどんな学習をしているかなど、意見の交換が活発になされることが大切である。
学校以外にも、保育園や幼稚園、児童館、保健所、病院、学童保育、障害者施設など、子どもと本の出会いの場を増やし、図書館を地域の人たちに認識してもらうためにもそれらの施設との連携・協力は欠かせない。また、学校と同じようにその施設のスタッフと活発に意見を交換し連携をとることが大切である。
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注1 E・コルウェル『子どもと本の世界に生きて』こぐま社 p140引用
参考文献
笹倉剛『心の扉をひらく本との出会い』北大路書房
赤星隆子、荒井督子『児童図書館サービス論』理想社
望月道浩、平井歩実『ベーシック司書講座・図書館の基礎と展望7 児童サービス論』学文社